2012/02/15

バレンタインデー

 保育園の頃は、娘にとってバレンタインデーなんて全く関係ないイベントだった。それが小学生になるや否や、友チョコなんてものが早速開始に。デコレーションだけ楽しそうにやる娘と一緒に、大量のプレゼント用チョコレートを作成したのが去年のこと。友だちと公園で待ち合わせして交換したり、バレンタインデーってこんなのじゃなかったような、と内心思う父親をよそに、娘は初めてのイベントを堪能したようだった。

 一年経過して今年のバレンタインデー前夜。チョコレート作る、という娘と夕飯後に一緒に作成開始。今年は誰にあげるの?と何となしに尋ねると、

「んーとね、○ちゃんと○ちゃんと……○くん」

 なんと男の子の名前が出てきた。へえ、今年は男の子にもあげるの?と聞くと、

「だって○くん優しいんだもん」

 ほおおおお。もうじき三年生になってもまだ「パパと結婚する」と言い続けている娘もついに男の子か……と思ったのを察したのか、娘が「好きだからあげるんじゃないよ、優しいからあげるんだからね、ラブとか言わないで」と念押ししてきた。わかってるよ、仲良しだからあげるんでしょ、というと、安心したように「そうだよ優しいの、あと計算が早くてね……」と○くんの話を嬉しそうに。

 客観的に見ても好意を持っているように見えるんだけどなあ、と思ったものの、口に出すと怒り出すのは間違いないので、うんうんと黙って聞いておいた。お陰でチョコレート作りは平穏に終了。
 娘は作ったチョコレートを翌日学校に持っていき、無事に渡せたようだ。よかったね。

 しかし今回のことで一番意外だったのは、娘が男の子にチョコレートをあげる気になったことではなく、それを聞いた私が実に平穏に娘の成長を喜んだことだった。自分で言うのもどうかと思うが、娘が生まれたその日から、「○○くんが好き」とか言われた日にはどんなにショックを受けるのだろうと恐れていたのだが、全くそんなことがなかったのが我ながら驚きだ。

 娘の成長と併せて、私も多少は成長したということだろうか。
(でも結婚するとか言われたら泣く。間違いなく泣くと自信を持って断言出来る)

2011/10/06

Steve Jobs, 1955-2011.

 たぶん今日からしばらくの間、世界中の色々なところで、色々な言葉で、ジョブズについて様々なことが語られるんだろう。今日この世を去ったのは、それだけの価値がある人だったと思う。

 まだMacWorld EXPO/Tokyoがあったころ、一度だけジョブズを直接見たことがある。今ほどには一般的な注目を集めていなかったあの頃でも、遠めに見てもはっきり浮き立って見えるほど、存在感があった。

 ストリーミングで彼のプレゼンテーションを何度見ただろう。一番印象に残っているのはライブで見た、G4 Cubeが発表された時のプレゼンだ。世界中からアクセスされるものだから途切れ途切れになる映像と音声で、しかしそれでも、ジョブズがものすごく楽しそうにCubeを紹介していたのに釘付けになった。
 新製品のプレゼンテーションだというのに、それはなんだか自慢の子供を紹介している父親みたいで、見ているだけのこちらもすごくうきうきさせられた。

 ビジネスマンとしてのジョブズは、絶対一緒に仕事をしたくないタイプの人間だったようだし、Newton MessagePadをお蔵入りにしたことは未だに少し根に持っている。
 しかしそんなことより、たった一人の人間が強い信念と意志を持てば、今からでも世界を変えられるのだということを示してくれたことは、私にとって何よりも大きなことだった。

 きっと今日世界中で、ジョブズの言葉――「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」――を反芻し、多くの人が自分自身についても改めて考えるんだろう。いなくなってなお、人々への影響はとても大きい。

 どうぞ安らかに、というべきなのかもしれないけれども、あまりジョブズが安らかに休んでいるところが想像出来ない。天国にいってもまた、そこを変革しようと精力的に仕事をしていそうだ。

 一つの時代が終わった。その時間に生きられたことをとても僥倖だと思うけれども、でもやっぱり、終わってしまったことがとても寂しい。

2011/06/16

アップルパイ。

 元々料理を作るのを手伝うのが大好きな娘が、最近お菓子作りに夢中になっている。特にパウンドケーキ。これまでもクッキーの型抜きやアイシングなどは楽しげにやっていたが、パウンドケーキだと計量とオーブンで焼くの以外はほぼ自力でできるのが楽しいらしく、私の介入を拒否してできる限り一人で作っている。

 でき上がったケーキは、親の欲目を割り引いてもかなりいいできだ(今自分で思ったが、なんの躊躇いもなくこう書いてしまうあたり、割り引いてもまだだいぶ欲目が残っている模様)。少なくとも、生地の出来は私がやるのよりきめ細かくできている。こっちは娘が生まれる前からお菓子作りのキャリアがあるというのに、なんで今月始めたばかりの娘の方が上なのか……後生畏るべし(ということにしておこう)。

 パウンドケーキやランドグシャなど、自作のケーキを食べてくれた人から褒めてもらってすっかり気を良くした娘の次の目標は、アップルパイなのだそうだ。
 アップルパイは、パイ生地作るのが大変そうだし、いかにもカロリー高そうだしで今まで手を出して来なかったのだが、娘はやる気満々である。餃子の皮や春巻きの皮を使ったお手軽アップルパイや、冷凍パイ生地を使ってまずはやって見る、という父親の提案は歯牙にもかけてもらえなかったので、近々キッチン中を粉だらけにしながらチャレンジする羽目になりそうだ。

 大変そうだなあ……と思いつつも、少し楽しみだったりもする。ずっと我慢していた粉ふるい器も買っちゃったし、さて。

まいにち。

 朝四時半に起きて、天気を確認。雨が降っていたら二度寝して、晴れていたら三十分ほどジョギングに行く。いったん戻ってから、今度は愛犬を連れ出して二十分ほど散歩。

 帰宅してシャワーを浴びて、お弁当を作って、食事の用意。まだ起きていなかったり、妻が起こしていなかったら娘を起こしにいって、みんなで順次朝食をとり、食器を洗ったりしながら食後のコーヒーを用意。いつも同じ手順なのに、日によってフォームミルクの泡立ちがずいぶん違うのはなぜだろう。

 八時過ぎにお友達が迎えに来てくれるので、それに合わせて娘と一緒に家を出る。子供たちは学校へ、私は職場へ。朝の作業が一段落して、移動中の電車ではちょっと眠い。

 仕事を終えて、帰宅。学童から帰っている娘は一人で留守番している。食事の用意をして、一緒に食べて、学校の宿題や塾のホームワークをやるのを見てやり、お風呂に入って。時間がある日はちょっとだけ遊んだりテレビを見たり。そして就寝。

 色々思うところはある。きっとみんな、それぞれあるように。
 でも、文句言ったら罰が当たるな、と、改めて考えてみて思いもした。だからといって、全部が解決するわけではもちろんないんだけれども。

2011/06/15

マウンテンバイク。

三歳の誕生日に母方の祖父から買ってもらった自転車を、娘はずっと大事に乗ってきていた。一年半くらい前に補助輪が外れ、急に自転車で遠くに行くことが楽しくなって、一緒にサイクリングに行ったり、買い物に行ったり、ずいぶんあちこち乗ってきたと思う。

長く乗れるよう、最初から大きめの自転車を選んで買ってあった。それでも娘はどんどん成長していくわけで、去年の夏くらいにはサドルとハンドルを目一杯上げても、もうずいぶん窮屈そうな感じになっていた。
同じ学年の背の高いお友達の中にはインチの大きい自転車に乗り換える子もぼちぼち出てきていて、娘なりに色々思うところはあったのだと思う。それでも、「おじいちゃんに買ってもらったやつだから」といって、ずっと大事に大事に乗っていた。

先日、その自転車に乗って二人で買い物に行ったとき、ペダルを漕ぐ娘の膝がハンドルに当たっているのに気がついた。足が長いのはいいことだが(妻によると、四十センチほど身長差のある娘と私の膝の位置は既にほぼ同じなんだそうだ)、さすがにこれ以上この自転車に乗り続けるのには無理がある。
妻とも相談し、自転車を買い替えることにした。新しいのにしよう、と言った時に(今までの自転車も大事だ、という思いがあるからか前面に大喜びの感情を出したりはしないのだが)、娘がどんなにわくわくしているかが、言葉にしなくても嫌というほど伝わってきた。口にしなかっただけで、ずっと我慢していたんだね。

一緒に自転車屋さんに見に行って、目ぼしいのに当たりをつけた。「女の子っぽいのはいや、かっこいいのがいい」という娘の強い希望で、子供用のマウンテンバイクに。ファンシーさのかけらもないかっこいいデザインに、憧れの変速ギア。加えて、ミヤタのアメリカンイーグルという車種だったのだが、その名前がまたかっこうよくて気に入ったらしい。

例によって大きめのサイズの購入となったので、乗りこなせるか心配だったのだが、数分勝手がわからずふらふらしたもののすぐに慣れ、ギアチェンジも何度か教えたらスムースにこなせるようになってしまった。そのまま、今度も買ってくれた祖父母の家までみんなで自転車でサイクリング。これまでだったら押して上がらなければいけなかった坂道も漕いで上れるようになり、楽しくて仕方がないのが後ろから見ているだけで嫌というほどにわかる。祖父母からもかっこいいかっこいいと褒めてもらって、ものすごく嬉しそうだった。

またいつか、その自転車でさえ君には小さくなってしまう日がくるんだろうけれど、それまでは精いっぱい楽しもう。私が普通に漕ぐスピードにもしっかりついてこれるようになったし、これまでは近場しかいっていなかったサイクリングも、この夏はもう少し本格的に楽しめそうだね。