2009/04/06

さくら。

 ばたばたと忙しい日々を過ごしているうちに娘は五回目の誕生日を迎え、とうとう保育園でも一番上のクラスになった。ついこの間保育園に通い出したばかりのような気がするのにねえ。毎日毎日おむつをもって通って、毎朝毎朝びいびい泣かれて後ろ髪引かれる思いをしていたのがつい昨日のようだ。……いや、少なくとも去年の夏頃までは毎朝びいびい泣いてはいたか。しかしそれでも、今ではすっかりお姉さん、毎朝にこにこハイタッチをしてバイバイしていて、頼もしいやら少し寂しいやら。

 そんな毎日を過ごしているうちに、いつの間にか気候はすっかり春めいてきた。暖かくなってきた空気に誘われて、景色も色づいてくるし気持ちも少し軽くなる。
 春と言えば桜だ。我が家から保育園までの道のりには大きな桜の樹がはえていて、今年は一週間以上朝晩その花ぶりを楽しむことができ、花見はそんなに好きでもないが桜は大好きな父親にとっては至福の一週間だった。しかしなぜだか娘は今ひとつらしく、父親が毎日自転車を止めては「咲いてきたねえ」「満開だねえ」「夜桜はいいねえ」と見上げるたびに、「○はあんまり好きじゃない……」とつまらなさそうにしていた。

 そんなある日。
 保育園に迎えに行くと、娘がにこにこ近寄ってきて「おみやげがあるよー」という。目をつぶって、というので目をつぶり、言われるがままに手のひらを上に向けると、娘がその上に何かをそっと乗せてくれた。

 目を開けると、桜の花。

 保育園の庭に落ちていたのを、「パパが好きだから」と拾って大事に取ってあったらしい。なんだか涙が出そうになって、大事に大事に、家に持って帰った。

 少ししおれていた桜の花は、家に帰って水につけるとまるで息を吹き返すようにきれいに咲き、その後三日ほどもその姿を楽しませてくれた。

 いつまでも、そんな優しい気持ちを持ち続けていて欲しいと思う。

0 コメント: