2010/02/08

ハッピーバースディ。

 娘が待ちに待った六歳の誕生日。朝からウキウキウキウキの娘を見ているとこっちまで楽しくなってくる。本当なら一日休んでたっぷり遊びに付き合ってやりたかったのだが、仕事の予定がそれを許してくれず、せめてということで早退して普段より一時間早くお迎えにいくことにした。職場の皆さん、すみません。でもそれまでウキウキ顔だった娘から、「今日は早お迎えじゃないの……」と心底悲しそうな顔で言われてしまうと、やっぱりその。

 自分が小学生だった頃の誕生日に、担任の教師に「今日誕生日なんだ、プレゼントもらえるんだー」と喜んで話をしたら、「誕生日はプレゼントもらえるからいい日ってわけじゃないのよ、この一年間を無事に過ごせたことをお祝いする日で……」と説教されてしまったことがある。教師というのは絶対的な存在だという呪縛に長いこと縛られていた私はお陰で以来、素直に誕生日が喜べなくなってしまった。誕生日だけではない。自分の胸の内の感情を外に出す、ということにものすごく抵抗感を抱くようになってしまったのだった。
 親の立場になってみると、あのとき言われたこともわからなくはない。でもだからといて、ウキウキしている子供にそんなこと言う必要がどこにあったんだ、とは強く思う。

 そんなわけで私は、自分の誕生日は祝ってもらえても素直に喜べないのに祝ってもらえないとものすごく喪失感に苛まれる、というねじ曲がった性格になってしまった。娘に同じ轍は絶対に踏ませないのだ。絶対にだ。変なところで私に似ている娘に、同じような経験は絶対にさせたくないのだ。

 ということで、大変長い言い訳だったが、早お迎えと言われれば本当に申し訳ない申し訳ないと思いつつも早退して早お迎えに行くのである。本当は全休かせめて半休をとりたかったのだがそういう訳にもいかず、この中途半端さ加減が職場にも娘にも申し訳ない。
 しかしそれでも、普段より一時間早いお迎えに娘は満面の笑みで喜んでくれた。もうそれだけでいいや、という気になる。だってそう、今日は君にとって特別な日なんだもんね。

 娘のリクエストで夕飯はフライドチキン。張り切りすぎてものすごい量を作ってしまったが、妻も娘もみんなご機嫌。ケーキがあんまり好きじゃない娘のために美味しい果物をたくさん買って、食後はそれをデザートに。そして娘にとっては待ちに待ったプレゼント、ベイブレードをあけて、早速遊び倒す。

 たぶんこうしている間にもいっぱい届いている職場のメールや、たまっている宿題が気にならなかったというと嘘になるのだけれども、でも、年に一回の誕生日くらいはそれを忘れようと思った。いや、年に一回どころか、君の六歳の誕生日は、もう二度とないんだものね。

 お誕生日、本当におめでとう。
 君の喜ぶ顔を見ていると、まるでこっちがプレゼントを貰っているかのようだよ。

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